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  • 2009.02.19 Thursday
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今さら書く1.3「マッスルハウス8」観戦記

昨日、HDDに残してある「マッスルハウス8」をまた見た。
当日会場で見て、サムライで本放送を見て、録画したのを2回見た。
近年これだけ繰り返し同じ興業を見返したことはない。
そして何回見ても、“大鷲透”になった藤岡が惨敗して控え室に向かおうとするところを鶴見亜門が呼びとめる場面で胸が詰まる。
「何やってんだよ!集中しろよ!」と怒る亜門は泣いている。
「僕はマッスル坂井になりたいですよ!」と叫ぶ藤岡の前に現れる坂井は怒りを押し殺しているようにも、困惑しているようにも、何か胸に決意を秘めたようにも見える、複雑な表情をしている。
マイクがうまく入らないで叩きつけて地声で藤岡を叱責する坂井。
そんな坂井に「八つ当たりすんじゃねえよ!藤岡頑張ってるじゃねえかよ!」と涙声で叫ぶ亜門。

この一連の流れがどこまで台本通りでどこからアドリブなのか、見ている我々はまるでわからない。
けれどそんなこと、たぶんどうでもいい。
どっちにせよ、私はこの亜門の涙声が今でも頭から離れない。
後楽園で見てきた数々のプロレス名場面、それは天龍vsハンセンであったり、有刺鉄線デスマッチに臨む大仁田であったり、「俺たちがFMWだ」と言ってリングに倒れこむハヤブサであったり、バトラーツであったり闘龍門であったりするその情景と並んで、私にはあの日の名場面が刻み込まれた。
それは亜門の絶叫であり、かつて「涙のカリスマ」と呼ばれていたことなど忘れてしまったかのようにヘラヘラ客席に媚を売る大仁田に向かって「友達なんです!助けてもらったから恩返しがしたかったんです!」と無我夢中で詰め寄る大家健であり、それを聞いて下を向く坂井であり、今大会もっとも重要な人物であったはずなのに終盤はまったく放置されっぱなしの藤岡の姿だった。
展開はグチャグチャ、試合はグチャグチャ、締めもグチャグチャ、それなのにこの「マッスルハウス8」は絶対に忘れられない大会になった。
こんな興業どこにもない。

試合後、渕が向かった先は… 〜2.6全日本・後楽園大会



NOAHの丸藤とカズ・ハヤシのタイトルマッチが見たくて約6年ぶりに全日本を見に行く。
カードが発表された段階で行きたかったんだが、直前まで行けるかわかんなかったので当日券の列に並ぶと、立ち見以外すべて売り切れ。
売り子の人に「場内混雑してます」と言われる。
中入ってとりあえずバルコニーいったら鈴なりの人。
こんなに人があふれてる後楽園見たの本当に久しぶりだ。
そもそも人があふれるバルコニーで見たことすら高校生のときにやっぱり全日来て以来だ。
たしかあのときはカンナムと川田がケンカマッチみたいなのをやっていた。
今思えば相当どうでもいいカードだったのに、会場は超満員だった。いい時代だったのだな。

そもそも最後に全日見にいったのいつだろう、って確認したらRODが結成された直後の武道館大会だった。
TAKAが全日の武道館に出てギガンテスと組んでタイトルマッチやる、ってんで行ったのだが、見に行った直後にギガンテスが急死するというショックな出来事があり、いろんな意味で忘れられない大会になった。

久々にいった全日は試合前に小島と若手の軍団(F4とかいった)が出てきてひたすらしゃべりまくったり、試合前に細かく説明してくれたり、なんか昔の闘龍門みたいだった

☆渕vs荒谷

荒谷が酷いことになってるとはある程度知っていたものの、これほどまでとは…。
後楽園のメインで天龍とやってた時代を見ている者としてはいろいろ辛い。

☆外人vs若手のタッグマッチ

ベイダーのコネで来た外人がブファドーラをやろうとして足を踏み外したとき、本当にビクッ!とした。
ハヤブサの事故を見ている世代からすると、あの技だけは絶対に、絶対に失敗しない自信がある人しかやらないでほしい。
本当に見ていて恐い。

☆TARU、ヘイトvs諏訪魔、若手

平井…ヘンだ。
持参した消化器を噴射したものの威力が弱くてヤジられてるし。
つーか情けないヒールってもうヒールじゃないだろ。
天山じゃあるまいし。

TARUが諏訪魔組のセコンドにいた土方を挑発して、リングに上がってきたところを捕まえてロープにゆわきつけて罵倒してると田中稔が入ってきて(あまりに自然に入ってきた。あんな乱入見たことない)、土方をロープから解放してガッチリ握手、二人でTARUを襲う…ってこれ何?諏訪魔とかどうなるの?3WAYでもやんの?と思ってたら
稔は標的を土方に変更、「最初からブードゥーに決まってたんだよ!」

込み入ってるわりに面倒くさい。

しかしTARU、平井、稔ってヘンなチームだなあ。

☆ブラザーvs近藤

別項。

☆鈴木みのる、MAZADAvs小島、KAI

あー、こんな面白くないんだなって素で思ってしまった。

どうでもいいが全日本はKAIとか大和、征矢、真田、みんな身体がしっかりできている。
闘龍門をずっと追った私がブラザーと近藤に物語を見てしまうように、今彼らをしっかり見ていると10年後くらいに彼らの物語が見られるのだと思う。
けど私はもう彼らの物語は見られない。
私もプロレスからの撤退は静かに始まっている。

☆武藤、西村、浜vs高山、太陽ケア、NOSAWA論外

大相撲から入ったという浜が見ていて恐い。
まず身体のバランスがヘン。
上半身に比べて明らかに下半身が脆弱で、足首なんかえらい細いので早晩体重を支えきれなくなるのが目に見えて恐い。
表現は乱暴だが、上半身だけ薬で肥大してしまった人、みたいな印象がある。
あれに比べると曙とかよっぽどちゃんとした身体なんだなと思う。

ひとつ前の試合同様、これも個人的には残念な試合だった。
高山は年を取り過ぎた。
おじいちゃんみたい。
そう考えると武藤のコンディションの作り方というのは本当にリスペクトする。

かつてプロレスは「熟年の選手の熟年の攻防」がメインだった。
けれどみちのくプロレスと闘龍門がそれを壊して「身体の動く若い選手をメインに」と変えた。
しばらくはメジャー団体も昔の「熟年」スタイルのままだったが、最近ノアも新日も全日も少しずつ「若いの中心」にシフトしつつある。
それ自体はいいことなんだろうが、そうすると「熟年」は今後どうするのか?という疑問が出てくる。
このセミファイナルはずっとそういうことばかり考えていた。


☆丸藤vsカズ・ハヤシ

とにかく二人の偉大なレスラーがプロレス頭を総動員して戦っただけあって、ちょっとやそっとの攻防じゃビクともしない私のようなプロレス見過ぎのすれっからしマニアでも「おお!おお!」と驚く場面の連続だった。
中でもカズのロープスプリングを丸藤がカウンターの低空ドロップキックで封止した場面が一番ゾクッとした。
はっきりいってこれ後楽園でやるレベルの試合じゃないよ。
武道館のメインクラスでやる内容だったよ。
それぐらい高度で先の読めない、また展開のわからない試合だった。
ただ個人的にはカズ・ハヤシは間違いなく一級のレスラーだが、丸藤は超一級だなと強く感じた。
個々の技もそうだが、動きと展開が本当に素晴らしい。
世界レベルでもこれだけできる人はそんなにいないと思う。

最後は不知火・改まで耐えきったカズが見たことのない技を集中させてフォールを奪った。
個人的には意外な結果だったが、会場は大爆発していた。
ともかく、素晴らしい試合だった。
繰り返すが、武道館とかでやらせてあげたかった。

試合が決着した直後、リングにスッと入ってきた渕は自分の団体に至宝をとりかえしたジュニアのエースではなく、敗れた丸藤の元へ駆け寄ってポンポンと肩を叩き、そしてまたリング下に降りていった。
渕の表情にはねぎらいと感謝の意があった。
あの場面に、丸藤がわざわざ全日本に出張った意味が凝縮されていた気がした。

T2Pから9年、二人の今

2001年11月13日、私はその頃つきあっていた彼女とT2Pというウルティモ・ドラゴンが手がけた新しい団体の旗揚げ戦を見に行った。
私と彼女が北側の客席で開始を待っていた頃、前の席に座っていた私と同年代くらいの若い男たちのグループがリングの周りで会場設営の手伝いをしていた若手レスラーに声をかけた。
若手レスラーは声をかけてきた男たちを見ると途端に顔をほころばせ、「何、来てくれたの?」「今日あと誰が来てるの?」と親しげに話していた。
おそらく私の前に座っていた男たちと若手レスラーは友人で、晴れの日を迎えた仲間の門出を祝福するために会場へ来たのだろう。
若手レスラーは第一試合のリングに上がった。
名前を近藤修司といった。


2009年2月6日、丸藤正道とカズ・ハヤシの世界ジュニア選手権を見るために、私は一人で後楽園ホールに行った。
会場で試合前に流されるVTRで、"brother"YASSHIが前回の大会で休業宣言をして、今日でファイナルマッチだということを知った。
前回大会でリングを離れることを表明したブラザーは最後の相手に近藤修司を指名した。
T2Pでデビューした二人はT2P解散、闘龍門ジャパン合流、離脱、全日本への転身とブードゥーマーダーズ加入、ドラゴンドアおよびエルドラドの設立、そして離脱と10年近く行動を共にした。
二人の道が初めて分かれたのは去年11月、近藤の全日本入団だった。
ブラザーは入団しなかった。
もしかしたらできなかったのかもしれない。
ずっとコンビを組んできた二人は初めて対角線に立つことになった。
けれど今思えばあの時点でブラザーはもうリングから離れることを全日本側に伝えていたのかもしれない。

2001年にデビューした"brother"YASSHIは不細工なレスラーだった。
背は低く、ドレッドの髪型が目立つ頭はデカく、技はこれといって映えなかった。
レゲエかラップかわからないが黒人音楽を強烈に後追いした早口のマイクは聞きづらく、見ている我々の神経を逆撫でした。
やがて彼はその生理的な嫌悪感を悪役として発揮することに成功したが、そこに至ってなお彼は技を受け続けるレスラーであって、華やかな位置とはほど遠かった。
彼の口癖「カス野郎」はやがて彼自身の代名詞となる。
どんな若手であっても大物レスラーであっても彼はひたすら唾を飛ばして連呼した。
「このカス野郎、カス野郎」
けどあの言葉はもしかしたら自分自身に向けていたのかもしれない。
こんなしょっぱいレスラーになりやがって、こんなカスっちいポジションでとどまりやがって、と。

近藤とのファイナルマッチ。
先にブラザーが入場する。
フードをかぶったまま、マイクを持って自分でライムを踏みながら入場する。
呪文のように、機関銃のように一方的にしゃべり続けた彼がリングサイドまで来てライムをとめると、フッとフードを脱いだ。
その瞬間、会場の空気がフワッと変わり、ものすごい「ヤッシー!」という叫び声が会場を埋め尽くした。
あんなに華がなくてあんなにどうしようもなかった"brother"YASSHIは、いつのまにか立派な華を身にまとっていた。

試合前のVTRで「いつもといっしょ」と語った近藤はブラザーの後から淡々と入場した。
しかし、彼はゴングの直前まで顔をブラザーに向けようとしなかった。
全然いつもといっしょじゃない。嘘の下手な奴だ。

試合は、ブラザーが一生懸命だったように思う。
ずっと見ていたはずなのに記憶が薄い。
ただフィニッシュに行く直前の近藤の力を込めた表情と、今生の恨みでもこもっているかのような、本当にブラザーが死ぬんじゃないかと思ったぐらい力の入った最後のラリアットに、二人の友情を見た気がした。
本当に心を許せる相手だからこそ、あそこまで力を入れて他人を殴れるんじゃないか、そんなことを考えた。
勝ち名乗りをあげてさっさとリングを後にする近藤の目は泣いていた。
彼はこれから全日本を代表する選手になる。
一方、ブラザーはこれでリングを後にする。
もしかしたらもう一度リングに上がることがあるかもしれないが、とりあえずは後にする。
同じところからスタートして常に隣にいたはずの二人は気がつくと大きく道が広がっていた。

T2Pにはいろんな選手がいた。
エースのミラノコレクションATは闘龍門ジャパンの後継団体・ドラゴンゲートを退団し、アメリカで武者修行を重ねた末、今は新日本にいる。
2007年にはベスト・オブ・スーパー・ジュニア初出場初優勝という快挙を達成した。
吉野正人、アンソニー・W・森、岩佐卓典、セカンド土井らはドラゴンゲートの第一線にいる。
今のドラゲーは実質彼らが引っ張っている。
大鷲透はフリーとしてあちこちのリングに上がる。
T2Pで怪物的な存在だった彼はすっかりその怪物キャラをひっぺがされ「見た目は怖いが人のいい透ちゃん」という素のままの自分を表現している。
大鷲とともに期待された小川内淳は引退してリングアナウンサーになった。
旗揚げ戦の第一試合で近藤修司と闘った八木隆行はレフリーに転身した。
ストロングスタイルを模索していた三島来夢は退団し健介オフィスで再デビューした後、首の負傷で引退した。
大柳二等兵はすぐに消えてしまったと思ったら、2006年に本名に戻してエルドラドで再デビューした。自分より後に入ったはずの後輩たちを「先輩」と立てながら、再びプロレスの道を模索している。

旗揚げ戦で一番下にいた近藤はT2P出身者の中で一番の出世頭になった。
考えたら近藤はSUWAの引退試合でも介錯を務めた。
近藤はたぶん、いま上しか見ていない。
顔を上に向けていないと消えて行った仲間、追い抜いた仲間、進むべき道が別れた仲間たちのことばかり考えて動けなくなってしまうんではないか。
ブラザーのラストマッチから2試合後、世界タッグの挑戦を鈴木みのるにアピールする近藤修司を見てそんなことを考えていた。

2008年年末テレビウォッチング


○ハッスルマニア(地上波)

・しょうがないっちゃしょうがないが、泰葉メインの構成。
 実際のメインを先に放送して、興行的には真ん中ぐらいに登場の泰葉を番組では最後の登場に。
 
 毎年大晦日は絶対に紅白を見る70歳の私の母が、この最後の泰葉だけチャンネルを回して見たらしい。
 黙っていれば絶対にハッスルなど見なかったであろう層を振り向かせたという意味ではやった価値があったかもしれない。
 しかし母のコメントはこうだ。
 「しょうがないことやってたわねえ」
 そう、日頃プロレスを見ない層に驚きを与えられなかったという点で課題は残った。
 いくら安生が一般人にもわかるレベルの驚異的な受けの上手さを見せたとしても。
 
・やはり理想は泰葉を入り口に、エスペランサーが登場したメインまでを引っ張れればよかったと思う。
 というかギャンブルでも、そうしないといけないと思う。
 もう「このあと誰々登場!」で延々引っ張る放送スタイルに視聴者は飽き飽きしている。

・その意味では、ムタがエスペランサーを道連れにしたあとの川田とボノちゃんの展開は、いただけなかった。
 あそこで特効使ってもよかったのではないだろうか。

・それにしても10.9東京ドームから13年、高田と武藤。足四の字は遠くなりけり。

○ダイナマイト(PPV)

・PPVで放映6時間は長い。けれどその分煽りVとかもキチンと見られるので、時間があるときは断然PPVだなと

・個人的にK-1甲子園は好きになれない。
なぜアマチュアボクシングがヘッドガードしているのか、なぜ未成年にはフルコンタクト空手でなくて寸止め空手をやらせるのか、もう少し考えてもらいたいと思う。

・キン肉万太郎、もうちょっと仕込んでもよかったのでは。あれでちゃんと次ができるのか。後年なかったことにされそうな企画に見えてしょうがない。

・柴田、相変わらずでよかった。いずれプロレスに戻って棚橋ともう一度やってほしいな。

・次も見たいなと思ったのは川尻達也とバタ・ハリ。カネがとれるというのはそういうことだと思う。

〈桜庭vs田村〉

・入場Vでレガースを履いて(履かされて)Uインターに回帰するような匂いを出しといて結局は放り出す桜庭。
いまだに小太刀を持って入場する田村。
「何年もオファーを断っておいてこっちの体調が悪そうだと見ると受けた」と田村を非難する桜庭。
「顔面は殴りたくない」と言いながら顔面を殴る(殴らざるをえない)田村。
「いずれ桜庭とは酒を飲める仲になりたい」という田村。
「無理じゃないですか」と突き放す桜庭。

この二人において、何が真実で何が真実でないのか、見ている側はまったくわからない。
そしてこの「わからない、けどどうなってるんだろう」と呼び込む力こそが本来プロレスが持っていた力なのだ。
リング上の二人の対戦ルールはともかく、これは見事なプロレスだった。
たとえ桜庭が実際のところはプロレスに何の未練もなかったとはいえ。

結局、リングで戦わせたにも関わらず結局のところ二人のうちどちらが強いのかというのはハッキリしなかった。
ただ試合後、笑顔で歩み寄ったのは桜庭だった。
思えばこの対戦が決まってから一方的に仕掛けてきたのも桜庭だった。
背負った十字架が重かった分、判定での差が出たのであろうか。
何かが片付き、何かが続いた。
実験する運動体――それがUWF。

ゼロ年代の想像力

全日本プロレス8.31両国大会をPPVで観る。
大会の目玉は「ダブルメインイベント」と銘打たれた2試合。
ひとつは武藤が保持するIWGP選手権のタイトルマッチ。
相手は2週間前に所も同じ両国でG1クライマックス初出場・初優勝の偉業をなした後藤洋央紀。

もうひとつは全日の至宝・三冠ヘビー級選手権。
若きチャンピオン・諏訪魔に“馬場・四天王世代を知る最後の全日戦士”太陽ケアとの一線。

試合の結果と詳細はスポナビに譲る。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/2008/2008083101/index.html
ここではちょっと試合から離れたことを書く。

K-1、PRIDE隆盛以降その座を奪われたばかりかズタズタにされたプロレスは、K-1、PRIDE両ブームが過ぎ去って久しい今もなお、新日本・全日本・ノアのメジャー団体を中心として動いている。
ミスター高橋と2ちゃんねるによって「フェイクである」と位置づけられたはずのプロレスのメインストリームは、いまだに新日本やNOAHにあったりする。

「ゼロ年代の想像力」で宇野常寛は批評の世界でいまだに90年代的価値観が跋扈し、またそれを誰も訂正しない風潮を嘆いている。
そして20代の彼は彼の考える「ゼロ年代の批評」を構築しようと懸命である。

翻ってプロレスの世界は、いまだに90年代の「四天王プロレス」と「軍団抗争」の世界から変わっていない。
マッスル、666、ドラゴンゲートといったポストモダンなプロレスは外部にあり、中心軸には「試合で見せる三冠選手権」「ベビーとヒールに別れた軍団抗争」が続く。

もうこれからの時代、猪木と藤波が描いた、あるいは馬場や鶴田が紡いだ「大きな物語」は誕生しない。
タコツボ化した世界で(宇野はこれを衛星化=プラネットと表現する)、人々は自らの入るべきタコツボを延々と探し、一度入ったら他のタコツボに見向きもせず、タコツボの仲間が「あそこのツボも悪くないよ」とすすめたところだけを時々覗きにいく、そんな世界が待っている。
ゆえにプロとアマの境界線が瓦解し、また“プロレス”の定義が流動化するのも時代の流れの一つであると理解していた。

ところが、いまだに三冠とIWGPはメインにある。
いや、その二つが中心にあること自体はそれほど問題ではない。
問題なのはその二つをめぐる物語が、ずっと変わっていないことなのだ。

たとえば現三冠チャンピオンの諏訪魔は、日本マット界随一のパワーファイターである。
彼の強力に人々は酔いしれる。
しかし、現在全日本プロレスが彼に求めているのは、20分、30分と時間をもたした上で相手のよいところを引き出し、その上で相手に勝つプロレスである。
つまりは三沢光晴や、小橋健太の試合像を求めている。
だが諏訪魔にそのような試合はできない。
正確に言えばできなくもないが、先の二人ほど美しい展開にはならない。
どこかオタオタした、ぎこちない展開になる。
今回のケア戦はいい例だった。
たぶん、会社はかつての川田vs小橋戦のようなフルタイム戦を期待してたのだろうが、現出したのは60分の中で生まれる間をなんとか埋めようとする、若き二人のレスラーの苦悩の姿だった。

私は諏訪魔の三冠戦は5分で終わっていいと思う。
というか、むしろ5分にしないとダメだと思う。
前と同じことをしていては先人より上には行けない。
プロレスは上塗りをしていかなければならない。
上塗りをしていかなければ、あとは下がるだけなのだから。

だがそれには前提条件がつく。
それは「ずっとプロレスを見続けている客を相手にした場合」という条件である。
つまり、定期的にファン層が入れ替わっていくならば、試合内容も、ストーリー展開も同じものをやっていても済む。
もしかすると、今のメジャー団体は「90年代と同じことをしている」のではなく、「90年代を見てないファンに一番楽しめるものを提供している」のかもしれない。

つまり、メジャー団体は長く観ている人に「もうあなたたちはいいですよ、どうぞ他の面白い団体を見てください、我々はあなたたちのようなズブズブの人は相手にできませんから」と考えているのだろうか、ということである。
これはやっかむわけでも拗ねてるわけでもなく、極めて真面目に「プロレスはある程度見たら卒業するべきものなのだろうか」と考えてしまった。
なかなか答えは出ない。


それにしても説明に説明を重ねて、ベタベタのベタベタに終わらせる天山・小島vsGBH&VMのタッグマッチを見るに、想像力とか、ダイナミズムといったものは娯楽から消えるのだろうかと考えた。
真壁やTARUの言葉には現実感がない。
ハッスルの世界と同じである。
「こういう風に観なさいよ」という定義が決まっている。

もし私が絵をかけるなら、そこをグチャグチャにかき回す。
つまり二人きりの天コジをGBH&VMのメンバー総動員(併せれば12〜13人にはなるだろう)が全員でボコボコにする、という絵を一度は入れる。
“友情友情言ってるけど、本当にそれって正しいのか?”という揺さぶりを入れないと、「天山・小島の友情」というキーが生きない。
われわれはそれを『キン肉マン』で自然に習った。
「窮地で仲間が現れ、敵をなぎ倒す」
というアメリカの1コマ完結カートゥーンみたいな話は、どうも背中がかゆくて仕方がない。
それとも時代は、1コマ完結を求めているのだろうか。

真夏に燃える男たち 〜7.27 ZERO1-MAX後楽園観戦記〜

唐突にZERO1MAX「火祭り'08」を観戦。
かつてG1の後追いで始めた企画だったのに、先行のG1が沈下してきてインディー/メジャーの境界線も流動化した昨今、いろんな意味で「火祭り」はG1と肩を並べた。
中西・真壁が「火祭り」に、大谷がG1に参戦するに至った今年などもはや両大会は地続きのような感じすらする。
第二回大会なんて黒田哲広が決勝戦に出てたというのになあ。

アメリカインディーマット界なんかは選手に明確な所属団体がなく、ROHだろうとCZWだろうと主催者が違うだけで出てる選手はみな一緒だったりするが、徐々に日本もそうなってる気がする。
これだけ選手がフリーになってるんだから、当然といえば当然か。

会場の後楽園は日曜の昼間で満員。南側の後ろに一部空きがある程度。さすが。

前座雑感。

○第一、第二試合ともそうだったのだが、デビュー何年もしてない若手が格上の中堅選手に胸を突き出して「来い!」と言ったり、ペチペチ頬を叩いて「張って来い!」とかいう。
団体の主幹である大谷自身がそういう選手だったから仕方がないのかもしれないが、見ていて行儀がよくないなと思う。
で、また相手の大森とかが妙に受けるんだよな。
普通、デビュー1年かそこらの若手にあんな態度されたらカチンときて秒殺でいいと思うのだが、後輩を気遣ってるのか、妙に受けてやってる。
なんだか現代社会の縮図を見るようだ。

○藤田と日高が闘っているのがとても違和感。
なんというか、マスカラスとドスカラスが別々のコーナーにいるような。

(火祭り公式戦)

○関本大介vs崔領二

対戦カード見ていきなりいい試合だねえ、と思ったら本当にいい試合だった。
怪物のような筋肉を誇る関本のラリアット、ジャーマンに崔の危険な蹴り技、危険な角度の投げ技が実にスリリングな応酬を築き、会場沸きまくり。
特にニュートラルコーナーでダウンする関本に崔が反対側から全力でダッシュしてきてそのまま真空飛びヒザ蹴りみたいに飛んできたところを間一髪関本が交わした場面なんか、背中がゾクッとした。
本当に一般人があんなの食らったら廃人になっちまうよ。
中盤以降の両者の攻防は90年代の川田vs小橋戦なんかと比べてもまったく見劣りしていなかった。
最後、関本のジャーマンを踏ん張りマットをつかもうとする崔の表情は恐怖そのもので、関本はその状態から強引にひっこ抜きジャーマンで3カウント。
崔、試合後まったく動けず。
やはりプロレスにはどこかで「恐怖」がないと説得力も感銘も生まれないな、と強く思った。

○KAMIKAZEvs佐藤耕平
 
『』の人はいつのまにかローマ字表記になっていた。
見た目は変わらないけど。
出場を直訴してきた火祭りも7年目にして初出場ですって。
ここまできたら一生出さない、っても面白かったと思うけど。

なんかやたらと会場の支持率が高い神風。
継続は力なりってことなのか。
だがファイトはなんとなくクネクネしたスタイルのまま、前の試合が残した熱気が徐々に冷めてきたところで神風の攻勢が始まり、けどやっぱり神風だなあ、ああ持ち技全部終わっちゃった、あとは耕平がジャーマンでカタを付けてVIVA!だな…と思ってたら変な丸めこみで勝ってしまった。
会場再び爆発。
ゼロワンの客は優しい。

○大谷晋二郎vs真壁刀義

真壁はデビューの頃の師匠が大谷だったとかで、それっぽい煽りVTRあり。
けど「もう今は知らない、昔世話になった人、ただそれだけ」とそっけない真壁。
対する大谷「真壁刀義という男は知らない。俺が知っているのは真壁伸也(デビュー時のリングネーム)」。
なかなか良いストーリーだ。

開始まもなく、真壁のセコンドの本間が手を出し、大谷を場外に引きづりこみ流血させる。
ブサイクながらWXがあれだけ奮闘して、山川は身体が戻らないまま苦労しているというのに、おまえは大日本にあれだけプッシュされて大きなケガもないというのになんだこのていたらくは、こんな三流小悪党で終わるために大日本を出たのか、と思うと怒りの気持ちが沸点に達し、「本間手出すんじゃねえー、なんだおまえはー、ふざんけんなー」と本気でヤジってしまう。
実際本間へのブーイングは多かったけど、多分会場にいた誰よりも私が怒っていたと思う。
あと一歩で「小鹿と登坂に謝れ!」とか叫ぶところだった。

でまあそんな感じで、真壁がヒールファイトを続けているところ、中盤になってまた本間が加勢しようとする。大谷はフラフラ。会場からまたブーイング。

そこで真壁が本間に「(この試合に)お前は下がってろ、手出すな」のポーズ。
途端に沸く会場、沸き起こるマカベコール。
いいなあ悪い人は。ちょっといいことするとすぐこれだ。
金髪ロン毛の香水臭いアンちゃんが電車でバアさんに席譲ったみたいな。

そこから大谷と真壁が1vs1で闘うも、最後は真壁のキングコングニードロップで完璧な3カウント。
まあ去年は永田に勝ったりしてるしなあ。こんなもんか。
逆に大谷の衰えを随所で感じた。
かつて「俺のドラゴン(スープレックス)は1試合に1回しか出さない。それだけ大事な技なんだ」って言ってたドラゴンを簡単に3発ぐらい出してるし、しかもまたそれがちゃんと投げれてないからフニャっとしてあまり効いて無さそうだし。
肩が悪いらしいがこの説得力の無さはメインレスラーとしては深刻だ。
しかし、田中も肩、大谷も肩。
橋本の古傷が団体にそのまま残ってしまったかのようだ。


○田中将斗vs中西学

またまた煽りVが秀逸で、ZERO1に乗りこんできた際「2月」と「12月」を言い間違えたり、なぜか目の前にいるにもかかわらず控え室の方に向かって「大谷出てこい」って言ってみたり、そんな中西にこのまま地球は沈められてしまうのではないか、行け!田中!地球を救え!みたいなVTR。アホでいいなあ。

しかし実際中西のアホっぷりはさらに拍車がかかっており、田中をアルゼンチンに抱えたまま意味もなく客席を徘徊してみたり(ずっと担いで疲れたのか、投げることもなくそのまま降ろした)、コーナーのそばに田中をスラムで投げるとわざわざ遠い方のコーナーに登って考えてるあいだに起きてきた田中にクルクルパーのゼスチャーのあと投げられてみたり、やっとアルゼンチンにかついだものの調子に乗ってグルグル回してたら田中の足がレフリーにぶつかってみたり。
そのたびに客席から
「中西、なにやってんだー!」
「中西、もうあまり考えるな!」
「中西、自分のせいだ、あきらめろ!」
と的確なヤジ、というかツッコミを送っていた南側客席のあなた、あなたが今日のMVPです。

で、そんな中西に手を焼きまくってた田中、結局仕留めきれず時間切れドロー。
けど15分くらいから中西の方はハッキリ「時間切れ態勢」になってましたよね。
相変わらずヘタだなあ。

ということでリーグ戦初戦を終えたわけだが…。

http://zero1-news.blog.players.tv/article/17370725.html

どう見ても決勝は田中vs真壁だよな。
まさか大谷vs中西ってことはないだろうし。
個人的には2年連続準優勝に留まっている崔か、試合内容では去年ぐらいから実質一番の関本のどちらかに優勝してほしいけど。

それにしてもZERO1の客は熱い。
今では新日本にすらいる、「何、今日はどんなブック見せてくれんの?」みたいな斜に構えたファンがかなり少ない。
それもまあ関本と崔の試合みたいの見せられたら納得する。
あのレベルの試合を毎回見せられたら、それは5000円は高くない。

しかし明らかに試合順悪いよな。
田中はともかく関本、崔、耕平あたりをメインにして大谷は今の蝶野ぐらいのポジションにした方が観客が満足して帰れると思うけど。
どうでもいいけど私はあの「スリー、ツー、ワン、ゼーロワーン、ウ〜MAX!」って一緒にやらされる、あの締めがかなり嫌いです。
強制されるのは嫌いなのです。
「ECWコール」や「ゼンニッポンコール」は自然発生だから美しかったのですよ。

変革のためのチキンレース〜5.6「マッスルハウス6」観戦記

サムライで「マッスルハウス6」が放映されたので見る。
今回は4月上旬に入院して大会直前に現場に戻ってきた、マッスル坂井の不在についてをテーマにするのだろうと思っていたら、爆笑レッドカーペットだった。いやはや。

マッスルはプロレスか演劇かという不毛なカテゴライズ論争があるようだが、鈴木みのるも高山善廣もウルティモ・ドラゴンも出た以上、どっちであろうと現代プロレスの最前線に来てしまったのは間違いない。
といったところで今回は最後の最後に大サプライズとして蝶野正洋が登場して「おい責任者は誰だ!こんなもんやめろ!」と恫喝し、完全に委縮した坂井があっけなく「はい」と認めてしまうことで、会場からは笑いと驚きと困惑と反発が同時に発生するという、世にも珍しい反応が生まれた。

これはすごかった。
これは普通できない。
蝶野の様子と、メジャー団体と呼ばれる既存組織がマッスルに対して思うであろうことを想像すれば、この恫喝が演劇を超えたリアルそのものであることに誰一人疑いは持たないはずだ。
ひと昔前に数多くのヒールレスラーが「この団体をブッ潰してやる!」というセンテンスを使ったものだが、ここまでリアリティある、いやリアルそのものである宣言は見たことがない。
私も含めて、観客は明らかにヤオとガチの向こう側に連れて行かれた。

しかし、この後が余計だった。
観客は蝶野がダウンする坂井の背中に「nMo」と書くことで「あれ?やっぱり蝶野はマッスルの世界に入ったのか」とホッとしてしまった。
今回、「マッスル」スタート以来初めてとなる“to be continued”のエンディングとなったわけだが、次回以降の観客の視座を考えた場合、この緊張は持続させてほしかった。
緊張がないと緩和は生きないのだから。

けれど「マッスル」は、本当だったら10年でやるものを1年でやっちゃってる。
生き急ぎ過ぎというか、ここまで来てしまったら残されたものもそんなになくなってしまうんじゃないかと余計な心配をしてしまう。
まあ、こうして伝説になっていくのだろうな。

本来「冷蔵庫の残り物でも何かしら活用があるでしょうが!!」的叫びから始まった「マッスル」は今や業界の変革そのものを体現する、最先端のグルメ店としての扱いを受けるようになってしまった。
特に今回もそうだが、「ハウス」は特別ゲストがないと何か損したような感覚すら抱くようになってきているのが現状だ。

その意味で今回の「レッドカーペット」は久々にマッスルらしいイベントだった気がしてならない。
個人的にはBIMAとアンソニー・W・大家に腹を抱えて笑った。
やっぱり学生プロレスは面白いな。

記号論としてのプロレスの行き詰まり 〜5.6DDT後楽園大会



DDTの関係者に仕事で世話になったという知人に誘われて観戦。
新木場の定期戦とかだと実質100人ちょっとしか来ていないという話だったが、連休の間というのも幸いしたのか後楽園ほぼ満員だった。

もっとも、よく見ると東西のイス席が他団体に比べて少なめに…じゃなかった、余裕をもって配置されていたり、北側席の半分以上をスクリーンで閉ざしたりしているので他と単純比較もできないが。
まあ生活の知恵みたいなもんだろう。

DDTは会場にビジョンなりスクリーンを用意して、試合が始まる前に「これまでの流れ」みたいなVTRを流している。
いわゆる煽りVであるが、これは良い。
たとえ選手がわからなくても、「なんでこういう試合が組まれているのか」を説明してくれると試合に入っていきやすい。
ドラゲーもこういうのをやってほしいもんだ。

で、そこまでやっているのにかかわらず、なんとなく全体に白けたムードがある。
もちろん部分部分では観客の熱狂を呼ぶものはあって、たとえばこの日巨漢のKooと闘って圧倒的劣勢を強いられたアントーニオ本多が延髄斬り→腕固めでレフリーストップを奪った番狂わせであるとか、ゲストで登場した獣神サンダーライガーと飯伏幸太のハイレベルな攻防とか、シークレットゲストとしてメインの5WAYマッチを途中から裁いた和田京平の登場とか、そこそこ沸く場面はあった。
が、あれだけ会場に人はいるのに会場全体が一つになって入り込むことような空気はなく、団体の売りであるはずのメインイベントでもそれは同様。
どこか白けて見ているムードがある。

印象的だったのはメイン前の煽りVで、試合中の不正行為が予想されるメタルヴァンパイア(ヒール軍)に対して正規軍の結束を呼びかける矢郷良明に高木三四郎がこれはタイトルマッチなのだからそんなことばかり言ってられないと反論すると、矢郷は高木を殴打する。
それでも納得しない高木に再度矢郷が手を挙げると、高木は「ぶったね!二度もぶったね!親父にも殴られたことがないのに!」とどこかで聞いた台詞を吐き、会場はこの日一番沸いた。

問題は試合でこれを上回る歓声を引き出すことができない点にある。
かつて、試合中の言葉のやりとりなどで客席を沸かせることが「口(くち)プロレス」と呼ばれ蔑まれていた時代があった。
しかしDDTでは「口プロレス」こそが会場を沸かせている。
そうなると今度は「なぜプロレスの試合をしているのか?」という疑問が出てくる。

もうひとつ印象に残ったのは、前座の男色ディーノ、マサ高梨組とKUDO、ヤス・ウラノ組によるタッグマッチである。
試合前、ディーノがKUDOらに小瓶を見せ、これは象をも倒す強力な下剤であり、お互いこれを飲んだ上で勝った方があそこにある下痢止めの薬を飲むことができるという試合はどうか?と持ちかける。
ディーノと高梨は先に自分たちで下剤を飲み意気込みを見せるが、KUDOとウラノはまるで話そのものを聞いていなかったように普通に試合を始めてしまう。
そして開始からまもなくディーノと高梨は腹が痛いという素振りを見せ、交互に試合中にトイレに行き、半脱ぎのタイツ姿にわざわざトイレットペーパーまで持ってきてヒップアタックをしたり、排泄物がタイツの中に存在するかのようなムーブをする。

ディーノたちが飲んだのが本当の下剤であるとは、おそらく観客の一人として思っていない。
ここで推奨されるのは「そういうものを飲んだ」と見なしてその上で「あーあー大変だね」と見なしてやる、そういう観戦方法である。
だが記号としてしか認識されないギミックはギミックの役割そのものを無意味にさせる。
ここに至ってリングの上ではディーノの下剤とメタルヴァンパイアの蹂躙も地続きになってしまい、女性である浅野レフリーがリングの上で屈強な男たちに暴力を受けていても「あれもネタなんでしょ?」という麻痺が観客に起こる。

プロレスに限った話ではないが、スポーツを含めたショービジネスにとってもっとも観客の熱を引き出させる方法は見る側に感情移入させることである。
サッカー日本代表があれだけ観客の熱を集める理由は、ほぼ観戦者のすべてが「日本代表に勝ってほしい」という思いを共有していることにある。
従って日本代表が劣勢になれば大きな声が出るし、得点を入れれば狂喜する。
プロレスは長らくこのシステムで繁栄してきた。
街頭テレビの力道山から始まって、ブッチャーの悪行に耐えるテリー・ファンクからアントニオ猪木、前田日明、大仁田厚まで時代と人によって提供するテーマを変えつつ「観客に感情移入させる第一人者」であり続けた。

ところが21世紀に入りプロレスという手品のタネが明かされるようになると、多くのプロレスファンが「なんだ、タネがあったのか」と離れていった。
代わりに入ってきたのは「ネタとしてのプロレスを見る人たち」である。
彼らはプロレスにタネがあるのを百も承知で見ている。
が、彼らはもう感情移入してくれない。
当事者としての生理学的な反応を避け、「こういうネタか」とメタな視点でしか見てくれない。
そんな人が何人いたところで、かつてのような反応は返ってこない。

本当はプロレスに限らず、世の中の大半のものはネタとガチの間を行ったりきたり浮遊しているのだが、そのような曖昧な態度に彼らは耐え切れない。
「どっちかに決めてくれ」と決断を迫る。
二者択一は人類の歴史でもっとも人気のある提示方法である。

DDTには西加奈子の「こうふく みどりの」に出てくる、アンドレ・ザ・ジャイアントに延髄斬りを決めるアントニオ猪木を見て明日も頑張ろうと考える、そんな昔みたいなファンはまずいない。
にもかかわらずリング上のメインストーリーで展開されるのは悪辣なヒール軍団とそれを迎え撃つ正規軍というクラシカルな図式である。
少なくともこの団体においてはヒールの悪行に本気で憎悪しベビーの正規軍に感情移入するのは難しい。
みんなこう思っている。
「だって、仕事でヒールやってるんでしょ?」

マッスルがあれだけ人気を博したのは、古典的なヒールvsベビーの図式から脱却し「なぜ我々は闘っているのか?なぜ我々はプロレスラーなのか?」という提示が恐ろしくリアリティあるものだった、という点も大きいと思う。
DDTから誕生したマッスルは、DDTへの最大のアンチテーゼなのかもしれない。

それとも、客がこうして入っている以上ニヤニヤ見ようが反応しまいがこれが正しいのだ、これが21世紀のプロレスなのだ、という解釈もあるかもしれない。
けど、それって面白いのかな?
感情移入して見る事が最大の娯楽だと信じてきた私からすると、それはまるで理解がつかない世界なのだが。

今夜の勝利を1999年の彼に 〜大日本5.4桂スタジオ大会観戦記



 シャドウWXのタイトル挑戦が見たくて大日本の埼玉・桂スタジオ大会へ。

 桂スタジオ、草加と越谷と八潮の境目にあたる国道沿いにあった。
 なんとはなしに郊外の匂い。
 まあ、倉庫だよね。普段は。
 試合開始1時間前には特リンの当日券を買えたが、開始10分前には全席完売していた。やるね。

 中に入ると意外に狭かった。新木場1stリングがちょっと広くなったかな、程度。
 大日本のビッグマッチというと、新川崎小倉陸橋下特設リングのイメージがあるのだが、どっちが入るのだろう。
 新川崎は開発で今は使えなくなってしまったらしいが、やっぱり大日といえば屋外だよね。

 前座で目についたこと。

・第一試合の若手、両方知らなかったがちゃんと身体ができてて有望そうな新人だった。

・谷口、痩せたな。

・NOSAWAとMAZADAが新人の今井君を“TOSAKA”として連れて来るが、いまいち不発。

・頭頂部だけ禿げあがった長髪になぜか裸足、右手には布団たたき。
 ネクロブッチャーの意味の分からない狂いっぷりは確かに面白い。
 面倒くさいことはやらない。デスマッチなんか適当ぐらいで丁度いい。こりゃポンドより上だ。

・場外に放り出されたアブドーラ小林、私の目の前にあったイスをつかみ、持ちあげようとしたところでなぜか私と目が合ってしまい、そしたら「…新品だからやめとこう」と戻していた。コスト管理は重要だ。

・セミファイナルに抜粋の星野勘九郎、ナイトメアとかグレプロといったどインディーばっか出てるのでどうかと思ったら意外にそこそこ出来ていた。フィニッシュのランニングセントーン(ヒップドロップ?)をもうちょっと磨けばもっと出来るレスラーになれるのでは。

 とはいえ、今はそこそこ出来るレスラーでも一つの団体で食っていくのは難しいかもしれない。
 この頃はたいがいのインディー団体がツアーを行わず、月に一回くらい都内の小会場で大会を打つ。
“団体”と“プロモーション”と“○○自主興行”の区別がほとんどない。
 そうするとメジャーに出られない選手はそういった小さな大会を次々ハシゴして出てないと生活も苦しくなってしまう。
 当然、出場団体を選んでいる余裕もなくなる。
 するとまた、雇う側もそういう事情を見越してギャラを買い叩くことが出てくるだろう。
 ワーキングプアレスラーの誕生である。

 昔に比べて、今はレスラーとしてリングに立つだけの夢なら圧倒的にチャンスが広がった。
 しかし、逆にレスラーとしてプロレスのギャラだけで食べていくのが至難になりつつある。
 それは表現するだけなら飛躍的に機会が増えたものの、それで食べていくのは極めて難しいブログの世界と相通ずるものがあるなと、井上勝正のへだらなタイガース―プレックスに肩を3つつけさせる星野を見て思った。


○メインイベント BJWデスマッチヘビー級選手権試合 蛍光灯ボード&凶器持込デスマッチ  伊東竜二vsシャドウWX

 私にとって最高のプロレス団体とは「1999年の大日本プロレス」に他ならない。
 ミスター・ポーゴ、松永光弘、中牧昭二、ターザン後藤といった「第一期インディーオールスター」が大挙して団体を去りもう終わりかなと思われた1998年後半の大日本プロレスは、必要に迫られて、というより「どうせダメならと」とヤケクソ的に若手を全面に打ち出す施策を取った。
 そうしてプッシュされたのが山川竜司、本間朋晃、そしてシャドウWXの「デスマッチ新世代」である。
 上からのしかかっていたつっかえがとれた彼らは「動けるデスマッチ、レスリングの中に凶器を織り込むデスマッチ」というまったく新しいスタイルを作りだした。
 後楽園で、札幌テイセンホールで、新川崎小倉陸橋下特設リングで、彼らはわずかな支援者との間だけに永遠に残る伝説的な試合を積み重ねていった。

 しかし、この「デスマッチ新世代」の三人が誰も見たことのないようなデスマッチで鎬を削ったのはわずかに1年だけ。
 翌2000年になるとFMWとの団体対抗戦がスタート、さらにアメリカ・CZWとの長きにわたる抗争も始まり、新世代同士の対決は一時ストップする。
 その間にシャドウWXは後楽園であわや大惨事となるような火災事故を起こし、謹慎の意味も込めて第一線から降ろされる。
 そして翌年、新世代の旗手・本間朋晃が突如として大日本を退団、さらには山川竜司が試合中の事故で頭がい骨骨折という重傷を負う。
 山川はその年の年末に感動的な復帰戦を挙げるがケガの後遺症もあってついに往時の勢いは取り戻せず、そしてCZWが撤退していった。
「新世代」のうち一人残されたWXもかつての勢いは取り戻せぬまま、大日本は暗黒期とも呼べる暗い時代に入る。
が、そこで沸々と胎動していたのが若き日の伊東竜二であった。

 あれから6年。

 今や伊東は誰もが認めるデスマッチの第一人者になった。
 デスマッチの準備係だった若手の一人は「デスマッチアーティスト」と呼ばれるようになっていた。
 WXは、黙って前座を務め続けた。
 ある日は外人に叩きのめされ、ある日はお笑いの試合に入って失笑を買い、ある日は若手の踏み台にされた。
 そんな彼が昨年、団体のプッシュを受け続ける若手の宮本裕向に対して呈した苦言。
「おまえそんなんでイイ気になるなよ」
 あれは本音だったんではないだろうか。
 決してまたメインのストーリーラインに絡みたいとかそういう我執の欲から来る自己顕示ではなく、そんな浅いレベルのプロレスで満足してたら直に苦しくなるぞ、というその道の先輩からのアドバイスであったような気がしてならない。
 ところが宮本が過敏に反応したことで、この組み合わせはそのままリングへと転化した。
 派手なバンプこそ多く客席を沸かせるものの、展開と攻撃にメリハリのつけられない宮本に対しWXは積み重ねた10年のキャリアからくる攻撃のインパクトと巧みな試合展開を見せ、終わってみれば観客はずっと秘められてきたWXの強さを再確認することになった。
 思えば、あの時宮本が反応しなければ、WXはいまだに第二試合に出ていたのかもしれない。

 先に入場するWXのセコンドに山川竜司と本間朋晃が来たら卒倒してまうな、と思ってたがさすがに来なかった。
 代わりにセコンドについたのは、恩讐を超え今はWXをサポートする側に回った宮本。
 WXは久々の顔面ペイント。“あの頃”を思い出す。
 対する伊東はいつも通り、蛍光灯の束を抱えての入場。

 序盤、伊東が試合を優勢に進める。
 手数で上回り、壁際の机にWXを寝かせると桂スタジオの壁をよじ登り、6メートルほどの高さの段からボディプレス。
 落下してから相手に命中するまでにゆっくり「1、2」と数えられるくらい、伊東の落ちてくる時間は長かった。
 伊東の身体はWXもろとも、下の机までペシャンコにした。
 伊東はすぐに雄たけびとともに立ち上がる。
 あれだけの危険な技を出してなお、ケガをしない。伊東もWXもプロである。

 リングに戻ってからは蛍光灯の波状攻撃。
 束で殴る、Tシャツに入れて腹を蹴る、後頭部に載せてカカト落とし、そしてボディスプラッシュ…。
 しかしWX、必至に返す。
 ラリアット、蛍光灯ボードへのパワーボム、ブレーンバスターで反撃。

 そして伊東が再度反攻を開始してまもなく、試合が山場を迎える。
壁際に設置した大型の足場をリングサイドに移動し、4メートルほどの高さの段からのドラゴンスプラッシュ。
 ものすごい飛距離。落下。衝撃。

 間違いなく決まった、という大技をWXが息も絶え絶えになりつつ肩を上げる。
 場内は興奮の坩堝。
 もう一発を狙って再び足場に登る伊東、そこで蘇生して伊東を追ったWX。足場を登る。

 脳裏に甦る1999年の川崎体育館。
 あの日、若かりしシャドウWXは山川竜司を二階席からパワーボムで投げた。
 その何ヶ月後には、札幌テイセンで本間朋晃を二階席の通路から投げた。
 蘇るか伝説。

 しかしWXが選んだのはパワーボムではなく、ブレーンバスターだった。
 空中に放り出される伊東とWX。
 どちらが技を仕掛けたとか、どちらがやられたとか関係ない。
 両者ともに腰と背中にひどいダメージを負っているはず。
 桂スタジオに轟く「伊東!」「シャドウ!」の割れんばかりの大歓声。

 あの頃、確かに”デスマッチ新世代”はすごいデスマッチをしていた。
 けれど客席はまばらだった。
 プロレスに明け暮れるしかない、俺たちのようなバカだけが小さくとも偉大なる歴史の目撃者だった。

 今はこれだけ熱心なファンがいる。
 そしてそのファンを作ったのは、伊東であり、佐々木貴であり、沼澤邪鬼だ。

 どうするWX?
 それでもお前は伊東に勝てるのか?

 WXがヨロヨロと立ち上がる。
 伊東に背を向け、リングサイドへ歩を進める。
 セコンドの宮本がペットボトルを渡す。
 WXがペットボトルを開け、中の液体を口に含んだ。
 ガソリンの匂いが桂スタジオに充満した。
 ビッグファイヤー!

 しかし、伊東にファイヤーは届かなかった。
 これがブランクというヤツだろうか?
 とはいえ、伊東は依然フラフラだ。
 WXが伊東の首根っこをつかみ、蛍光灯ボードへ垂直落下ブレーンバスター。すさまじい破裂音と白煙。
 しかしカウントは2。
 もうどうなるのかまったくわからない。
 再度、WXが伊東の首根っこをつかむ。
 旋回式のブレーンバスター。
 伊東の足はもう上がらなかった。
 その瞬間、今夜一番の大歓声が桂スタジオを包んだ。

 やったねWX。
 やっちゃったねWX。
 時計の針を戻しちまった以上、足踏みは許されない。
 過去と同じことは、もう今はできない。
「新世代」と呼ばれた男も酸いも甘いも噛み分けて、今は38歳。
 誰も見たことのない世界を、今は誰よりも俺が見たい。
 あんたのファンだったという記憶自体を、俺はずっと忘れていたよ。
 呼び覚ましてくれてありがとう。
 あんたのファンでいさせてくれてありがとう。

途中から読み始めた「グイン・サーガ」〜4.17ドラゴンゲート観戦記



ドラゴンゲート後楽園大会を見に行ったのでとりあえずの観戦記。

今回の観戦は取引先その他に散らばってる同好の方々と3月くらいに何か見に行こうか、ってことで決まったわけだが、事前にどこに行くか考えた時に団体別興行日程を見渡してもこれといって見たい団体がない、という事実に我ながら少し愕然とした。
ずっと週刊誌なりで個々に団体を追っていけばそれなりに流れとか対戦カードを見て「これは面白そうだ」という判断ができるのだが、少し離れた状態でしかも来月のどこかで何人かでスケジュールを合わせて見に行こう、となった時に見に行く決め手となる判断材料が何も無いという、プロレスから少し離れてしまったプロレス者の憂鬱を身をもって体験した。

そんなわけでしばらく見てない&同行者の中に見たことのない人が多数&そんなに外れも無いだろう、そんな消極的な理由で選んだのがドラゲー。
GAORAではチョコチョコ見てるものの、実際に見に来るのは私も団体名が変わってからは初めてだ。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆

この日の対戦カードはメインに6人タッグのタイトルマッチがあるくらいでそんなに力の入ったカードはなかったにもかかわらず、試合開始の6時半の時点で客席が9割方埋まっていた。
チャンピオンカーニバルもIWGP戦も後楽園で行われる時代に、同じ会場を次の流れへのステップとして使えるドラゲーはもう実質メジャー団体だな、と実感する。
まあ今やメジャーもインディーも大差ないんだけど。

オープニングで流れる歌がいつのまにか男性ボーカルのものになっていた。
前は女の人の歌だったのにね。
個人的には闘龍門末期に使用していたインストゥルメンタルバージョンが一番好きなんだが。

1:土井成樹、吉野正人、神田裕之 vs CIMA、アンソニー・W・森、エル・ブレイザー

チャンピオンのCIMAが第一試合。
「特にテーマが無い時は誰であっても前座」というのがこの団体では相変わらず徹底されてるが、そもそもここはあまり『前座』という概念がないのかもしれない。
地味な前座から始まって少しずつ派手目の試合になって有名どころが段々出てきて最後に団体のエースの試合、というトラディショナルなシステムはこの団体にはない。
あるのは第一試合でもセミファイナルでもそれぞれが持ち技を自由に出す、フラットなスタイル。
考えてみりゃここは選手の間にも“格”みたいなのがそれほど無い、フラットな関係に見える。
お客と選手の関係もわりかしフラットだし、まさしくここは「平成人(フラット・アダルト)たちの団体」なのだな。
プロレスは時代性を反映する。

「今のプロレスはみんな動きが浅井嘉浩的になっちゃったんだよ」と言ったのは鈴木みのる。
「今のプロレスは90年代の新日ジュニアの奇形児みたいなものですよ」と言ったのはTAJIRI。

何が正しいかはわからない。
けど奇形児になっちゃったなら奇形児のまま育てるしかないだろう。
太田光の言葉を借りれば「パラレルな世紀への跳躍」。
変わり続けるのは世の常なんだから、戻ることはできない。
だから変わってきたら、それらをさらに加速して飛翔するしか高みには昇れない。

脱線しすぎた。試合の話。

神田、ずいぶん変わっちゃったね。
最後に見た時はレフリーだったけど、身体つきがずいぶんゴツくなり金髪オールバックにしたせいで矢野通みたいになってしまった。
その神田と土井&吉野は何か上手くいってないのか、しょっちゅう揉める。

一方のタイフーン。
CIMAと元ミニCIMAのエル・ブレイザーが二人アイコノクラズムとか、なかなか歴史を感じさせる連携をしていた。

試合は吉野と神田が揉めてる間にアンソニーがピン。
アンソニー…年取ったね。
もう王子様はきついね。
そりゃ俺もおっさんになっちまったから他人の事ああだこうだ言えないけど。

T2Pの頃は一番弱い人という印象だったアンソニーは今やブレイブゲートのチャンピオンらしい。
で、何かちょい前にゴチャゴチャあったらしく王座決定トーナメントやるから誰か出ろ、82キロ以下で、勇気がある奴で…みたいなマイクがだらだら続く。
もうちょっとパッパッパッといかねえもんなのだろうか。


2:戸澤アキラ vs 望月成晃

「戸澤塾」の人はいつのまにかたるんだ身体を強調するメタボキャラになっていた。
「今日は8割この腹で攻撃してやる」と言っていたが、8割方その腹にモッチーの強烈な打撃攻撃を食らっていた。
最後はコーナーに押し込んで助走をつけてのライダーキックみたいな技でモッチーの勝ち。
気がつけば戸澤の腹は真っ赤にミミズ腫れ。
天龍にボコボコにされた輪島みたいになっていた。
こんなところで痛みの伝わるプロレスが出てくるとは思わなかった。


3:新井健一郎、岩佐拓 vs ドン・フジイ、シーサーBOY

途中でなんだかえらい眠くなって、コックリコックリ頭を揺らしているうちに終わってしまった。
シーサーBOYってのはスペル・シーサーと同一人物なのか違うのか。

レフリーがみちプロメインレフリーのデューク佐渡だった。
ここに来てみちのくとドラゲーがつながってきているのか。

4:Gamma、堀口元気 vs YAMATO、谷嵜なおき

谷嵜って技の失敗が多いし頭を使わない技ばっかりだしそのくせ自己主張だけは強い、あまり評価される選手でもないと思うんだけどなぜこんな上で使われるんだろう、と思ってたらパートナーのYAMATOに裏切られてしまった。
YAMATO、Gamma、堀口が新チームとして結託、3人でボコボコにしてるとマスクマンが二人出てきて谷嵜を救出。
マスクとらなかったからわからないがどうも吉野と土井みたいで、これでマッスル・アウトローズは分裂フラグが立ったというところか。

YAMATOは身体もガッチリ出来てるし、種類はそんなにないけど技がパチッパチッと決まる。いいレスラーだ。


5:オープン・ザ・トライアングルゲート選手権試合:
鷹木信悟、B×Bハルク、サイバー・コング(王者組) vs 横須賀享、斎藤了、ドラゴン・キッド(挑戦者組)


ハルク、ダンスよくなったね。
PosHeartsの頃はマグナムとの落差が目立ったもんだけど、今はずいぶん華が出てきた感じ。
横須賀、やせたね。
キッドやCIMAなんかもそうだけど、みんなずいぶん肉体改造したんだな。

これといって面倒くさい流れはなかったようだけど、「ドラゲー新時代チーム」vs「闘龍門世代チーム」という枠組みだけでも十分興味深かったし、何よりセミファイナルまで軍団抗争の流れがわからず戸惑い気味だった同行者の人たちがこの試合だけは純粋に試合内容だけで「うわっ!」「すげー!」と声が出ていた。
若手のホープという印象だった鷹木信悟は今や立派なメインイベンターになっていた。
関本大介との試合を見てみたい。ってどっかでやったりしたのかな。

とにかくめまぐるしい展開と想像を超えた技の応酬の末、ニューハザード勝利。
そこにセミで結託したYAMATO、Gamma、堀口が出てきてワジャワジャやった末に次の後楽園でそのタイトル俺らに挑戦させろ、よっしゃやってやる、という展開。
その一方、なぜか大声出して揉めているCIMAと横須賀と斉藤。
勝ったニューハザードもYAMATOが抜け、鷹木とハルクの関係がやや微妙で、全部のチームで内紛が起きているという面倒くさい状況。
最後はニューハザードの三人がやれ頑張るぞ、いやちょっと待て、よし頑張るぞ、いやそれは待て、みたいな問答をダラダラ続け、今度の愛知大会の髪切りマッチでハルクがYAMATOに勝てば次の後楽園は鷹木とサイバーもハルクに合わせてダンスを踊る、みたいな話で幕。
なんでもいいけどマイクが長い。
みんな疲れちゃってるよ。


軍団抗争や再編は大いに結構だがパッと見に行った人には何が何だかわからないことが多く、辛かった。
途中からの人にもうちょっとガイドしてほしいなあ。
むかしは第一試合の前にMCである程度の説明してたのに…。
「ここまでの流れ」みたいなペーパーを配ってくれるだけでもだいぶ違うと思うんだけど、もうそういうのやんないのかな。固定客多そうだし。

連ドラの本当の楽しみ方は途中から見ることだ、と言った人がいた。
本当に優れたドラマなら途中から見たって引き込まれるはずだ。
そもそも『太陽にほえろ!』も『金八先生』も、最初から見てた人ってどれくらいいるんだ?
そんなことを彼は言っていた。

正論だ。まったく正論過ぎる。
けど正論過ぎるがゆえにタチが悪い。
世の中、そこまで優れた作品はそうそう転がってないんだよ。

「ロードス島戦記」や「グイン・サーガ」といった大長編ファンタジーは途中から読んだってそれなりに面白い。
面白いけどさ…どうなんだろうマグナム?
今、あなたはどこで何やってんの?
大きく様変わりした出身地の風景を、今あなたはどんな思いで見つめているの?

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